はじめに
「太りすぎ」が健康問題であることは広く知られていますが、実は「やせすぎ」、つまり低体重も深刻な健康リスクを伴います。「やせているから大丈夫」という考えは誤りであり、将来の健康を守るためにも適切な体型を維持することが重要です。
「やせすぎ」の基準は?
日本肥満学会の基準によると、BMI18.5未満が「低体重」とされています。1)
BMI(Body Mass Index)とは体格を表す指数のことで、以下のように計算することができます。
【BMI = 体重 kg ÷ (身長 m ×身長 m )】
例)身長160cm、体重58kgの場合
58÷(1.6×1.6)=22.65
最も病気になりにくいとされるBMIは22.0です。
日本人女性の低体重の現状とその背景
20代女性の痩せの割合はここ10年一貫して高い水準にあり、近年は約20%で推移しています。これは先進国の中でも極めて高い水準です。
この背景には「やせている=美」とする社会的な価値観や、SNSやファッション誌などのメディアの影響があると言われています。過度なダイエット志向が極端な食事制限を招き、健康を害しているケースが多く見受けられます。
2)をもとに作成
「やせ」がもたらす健康リスク
低体重は、単に体重が少ないというだけでなく、体に必要な栄養素の不足やホルモンバランスの乱れを引き起こし、健康に悪影響を及ぼします。
①骨粗しょう症のリスク増大
低体重は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を低下させます。
エストロゲンは骨の吸収を抑え、形成を促す働きがありますが、その分泌が減ると骨密度が低下します。
若いころは問題がなくとも、将来的な骨粗しょう症や骨折のリスクが大幅に高まります。
②月経周期異常
体脂肪率が低くなると、生殖機能に関わるホルモンの分泌を抑制し、月経不順や無月経が引き起こされます。これは、身体が「妊娠を維持できるだけの栄養状態にない」と判断して生殖機能を停止させる防御反応です。
③低出生体重児(2,500g未満)の増加
やせた女性が妊娠出産にいたると、胎児に供給される栄養素が不足し低体重児になる傾向があります。
低出生体重児は、乳幼児期の死亡率が高いだけでなく、成人になってからの生活習慣病(肥満や糖尿病、高血圧、心血管疾患など)のリスクが高いことが示されています。
上記の他にも貧血や免疫機能の低下・精神症状(摂食障害、抑うつ、不安)を引き起こします。
健康的に体重を増やすには
① 食事の摂取カロリーを増やす
一日3食を食べていない方は、少量でもよいのでしっかり食べる癖をつけましょう。食欲・時間がないからといって食事を抜いてしまうと、栄養不足になってしまいます。
また、一日3食を食べている方は、手軽な間食を取り入れましょう。お菓子ではなく、おにぎりやバナナ、ゆで卵など炭水化物やたんぱく質の栄養が補えるものを選びましょう。
②筋肉量を増やす
自宅でできるスクワットや軽いダンベルを使った筋力トレーニングを行いましょう。筋肉をつけて体重を増やすことで基礎代謝が上がり、より健康的で引き締まった身体を作ることができます。
最初は無理のないように、短時間から始めましょう。
おわりに
「やせているから大丈夫」「やせている=美」という誤った認識は、若い女性の健康を脅かす深刻な問題です。ご自身の健康だけでなく次世代の健康を守るためにも、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、そして、少しでも不安なことがあれば専門家に相談しましょう。
健診でできるおすすめの検査
骨密度検査(3,300円)
レントゲンを用いて
大腿骨の骨密度を測定します。
骨粗しょう症が分かります。
1)日本肥満学会.”肥満症診療ガイドライン2022”. ライフサイエンス出版,p.2
2)厚生労働省.”令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要”.https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf