はじめに
これからの時期、クリスマスや忘年会、年末年始の集まりなどでアルコールを飲む機会が増える季節ですね。アルコールは意外と高カロリーな飲み物です。オレンジジュース1缶(200ml)が84kcalなのに対して、缶ビール1本(500ml)は200kcalです。さらに、アルコールと一緒に食べるものによって、体脂肪がつきやすくなります。今日から適正飲酒の習慣(日本酒換算で1日当たり1合以下、休肝日は週2日以上)を始めて、あなたの肝臓をいたわってみませんか。

アルコールと肝臓の関係
体内に入ったアルコールの90%は肝臓で分解されるため、肝臓はアルコールの影響を最も受けやすい臓器です。過剰なアルコールの摂取は、肝臓に中性脂肪を蓄積しアルコール性脂肪肝を招きます。アルコール性脂肪肝が進行して肝硬変になると、断酒しても元の健康な肝臓には戻れません。肝臓は沈黙の臓器と言われており、症状が出たときにはかなり進行している可能性もあります。
適正飲酒ってどのくらい?
節度のある適度な飲酒量は成人男性で1日当たり、日本酒1合と言われています。日本酒1合(15度180ml) = ビールロング缶1本(5度500ml)=ワイン2杯弱(12度200ml)= 焼酎(25度100ml)= ウイスキーダブル1杯(40度60ml)が同じアルコール量となり、1日あたりの適正飲酒量になります。これ以上飲むと、寿命に影響が出始めることが日本人を対象にした研究で判明しており、生活習慣病になるリスクが高まるのです!!

また女性は男性に比べて『肝臓が小さい』、『女性ホルモンがアルコールの分解を邪魔する』、『体重あたりの血液量が少ない』ため男性の半分の量が適正飲酒量になります。
お酒を上手に楽しむポイント
- 飲酒は1日の適正飲酒量以下で
- 食事と一緒にゆっくりと 空腹時はアルコールの吸収が早いため、肝臓に負担をかけます。ゆっくり自分のペースで飲むことにより肝臓をいたわることにつながります。
- 一度にたくさん飲まない 1回の飲酒機会で純アルコール60g以上(日本酒換算3合以上)は急性アルコール中毒を起こす危険があります。
- ダラダラは飲まない 切り上げる時間や飲む量を決めることで飲み過ぎを防ぐことができます。
- 寝酒は避ける 眠ろうとして飲むと寝つきはよくなりますが、睡眠が浅くなり睡眠リズムが乱れ不眠を招きます。また寝酒はアルコール依存を高めます。
- 毎日続けて飲まない・・・連日の飲酒が続くと肝臓はダメージを受けます。休肝日を作り肝臓を休ませましょう。
肝臓が気になったら血液検査をチェック
AST:基準値30以下 多くの臓器、とくに心臓、肝臓、筋肉などの細胞に含まれている酵素で、これらの臓器が障害され、細胞が破壊されると、ASTが血液中に放出され値が高くなります。「高値を示す病気には肝炎などの肝疾患、心筋梗塞、心筋症、骨格筋の障害および甲状腺機能亢進症があります。」また激しい運動すると高値となり、影響は数日続きます。
ALT:基準値30以下 肝臓以外の臓器には少ないため、心臓、筋肉の疾患ではほとんど高値になりません。「高値の原因には脂肪肝や肝炎、肝硬変や肝がんなどの病気、薬やアルコールの過剰摂取などが考えられます。」
γ―GTP:基準値50以下 肝臓などの細胞の膜にある酵素で、アルコールや種々の肝臓や胆管の病気で合成が高まり、血液中に出てきて血清中の値が高くなります。「高い場合はアルコールが原因であることが多いですが、肝臓、胆管の病気(肝炎、脂肪肝、肝硬変、胆汁うっ滞、肝がんなど)でも高くなります。」
おわりに
従来、肝臓病の原因の大部分はB型肝炎、C型肝炎ウイルスによるものでしたが、最近はアルコール性、非アルコール性脂肪性肝疾患の割合が増加しています。これらの肝疾患は進行すると慢性肝炎になり、やがて肝硬変となり、肝がんに進行していきます。当健康管理センターでも、肝機能の血液検査、腹部超音波検査、腹部CT検査を受けることが出来ます。脂肪肝、肝硬変、肝のう胞、肝がんなどご自身の肝臓の様子を確認してみませんか。お気軽にお問合せください。
☆肝臓が気になる人へのおすすめ検査☆
血液検査
AST:198円、ALT:198円、γ-GTP:198円、肝炎ウイルスセット:4,400円
腹部超音波検査 5,500円
腹部CT検査 11,000円

